リムくん、旅に出る

旅とか出かけたこととか発信しています。

旅をすること

 旅をすることは自分の観念を破る行為だ。自分の生活圏では体験できないことを旅によって成し遂げられるのだ。昔は旅をすることは命掛けだった。専ら移動手段は歩きで食料と水を確保しながら移動する。今みたいに新幹線や飛行機など便利な移動手段もない。時代によっては宿場町があってそこで宿や食料を確保できた時もあったがそれもごく一部。だから旅というのは常に危険と隣り合わせなのだ。

 

 去年、20歳最期の夏に自転車で銚子まで行ってきた。ランドナーで行ってのでそんなにスピードも出ない。埼玉にある自宅から途中休憩も挟みながら自分のペースでいいからペダルを漕いでいった。途中危ないところや険しいところもあったが九十九里が見え、そしてなんとか銚子の街に辿り着いた。海がないところで育った者にとって海を実際に見ることの喜びは計り知れない。だがそれ以上に自分の力で海に辿り着いた喜びやスマホでは感じ取れないその土地の風土を感じる喜びの方が大きかった。

 

 スマホでいくらでも調べられるし、行こうと思えばいくらでも行ける時代になった。だけどそれは実際に行ってみればスマホで見た時と感じ方が案外一致しないことが分かる。いくらイメージを膨らませたところで行ってみなきゃ分からない。それが旅の醍醐味である。

 

 自転車の旅で気付いたことがもう1つある。それは便利な移動手段によって移動によって生じる感じる情を削いでしまうことだ。より早くより遠くへ移動できる代わりに旅は目的地に行くだけのものへ異質したのかもしれない。世間ではそういう旅を旅行と呼ぶ。

 

 安くて危険の少ない移動手段が台頭し、スマホでいくらでも調べられる時代になった。そんな時代だからこそあえて原始的な道具で移動してみたい。その土地の風土を感じることも旅の楽しみであるから。■